交通事故で致命傷を負うケース

 自動車は運転者が歩行者を認識してブレーキを踏むこととなるため、当然スピードが速くなればなるほど急に停止することが難しくなるため、衝突した時の致命傷を負うケースが増えることとなります。しかも当然、ブレーキを踏んでから自動車が完全に停止するまでの距離についても、速度が速くなればなるほど距離が長くなるのが一般的です。

 統計上でも衝突時の速度と歩行者の死亡率の関係の数値が統計上、出ています。それによると自動車の速度が0~10km/hでは0.51%、11~20km/hまでが1.01%、21~30km/hまでが1.62%となります。さらに31~40km/hでは5.65%、41~50km/hまでが15.65%、51~60km/hまでは29.83%となっていることから、衝突時の速度が速くなればそれに応じて死亡する確率も高いのが状況です。また近年は、毎年起こる自動車事故による被害を防ぐ上でも新車などの開発分野では事故対策の為に各種試験を行っています。

 例えば歩行者が自動車と衝突し場合、衝突による衝撃により、歩行者が投げ出されて激しく道路に頭を打ち付けて致命傷を被るケースがあります。一方では走行してきた自動車の脚部に衝突し、自動車のボンネット上に持ち上げられるケースも存在します。

 そのため自動車事故対策機構の試験には、この二つのシチュエーションに合せて歩行者頭部保護性能試験と脚部保護性能試験の二つに分けられて実施している特徴があります。実際に致命傷が起こるシチュエーションなどを検査する試験となりますが、共に時速30キロをベースにそれ以上の速さで実施されることが多いです。なお時速30キロをベースとする理由については、一般道が時速40キロの指定が多いため、仮に歩行者の存在に気が付いてブレーキを踏んだ場合、時速30キロ程度は出ている可能性が一番、高いからです。